東京高等裁判所 昭和41年(行ケ)123号 判決
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〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)
二 原告は、本件審決を取り消すべき事由として、本件審決は、本願発明の要旨の認定を誤つた結果、特許要件に関する判断を誤つたものであり、違法である旨主張するが、この主張は理由がないものというほかはない。すなわち、本件審決が、原告主張のように、本願発明の要旨の認定を誤つたものとみるかどうかは、本願発明の要旨中に「酸化アルミニウムを担体として用い」という限定があるとみるかどうかにあることは、原告の主張に徴し明らかであるところ、本願発明の明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細なる説明の項にはこのような限定、あるいは、限定の理由の記載はなく、ただ、わずかに、その実施例に担体として酸化アルミニウムを使用する例が示されているにすぎないことは、原告の主張自体及び本願の特許公報により明らかである。しかして、いわゆる実施例は、その発明の説明の便宜のため発明実施の態様を例示するものに他ならないから(旧特許法施行規則第三十八条第三項参照)、発明の特許要件の吟味に当たり、実施例に示された事項を発明構成の必須の要件とみなかつたからといつて、これをもつて、発明の要旨の認定を誤つたものとすることができないことは、多くの説明をまつまでもなく、明白なところというべきである。けだし、本願発明において、前記のような実施例における記載から直ちに触媒の担体を酸化アルみニウムに限定するものと解することは、疑いもなく、当を得ないことであるからである。
(むすび)
三 叙上のとおりであるから、本願発明の要旨の認定を誤つたことを前提として本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというほかはない。よつて、これを棄却する。
(三宅正雄 土肥原光圀 武居二郎)